2012年2月17日金曜日

アラスカの海

今回は僕が尊敬する大先輩の自然感が
心にしみる文章を紹介したいと思います。



ザトウクジラの人生に思いを馳せてみた。
目の前で、壮大な回転ジャンプを繰り返す
青年クジラがいた。
疲れを知らない連続大ブリーチ。
私たちの興奮を笑い飛ばすかのように。

「あ~ 海も青い」 「あ~空も青い」 
「海も空も広くて青い」 「海も空も大好きだ」と、
クジラの声だ。

地球を半周する1年の旅から帰って
アラスカのこの入江でひと夏の捕食。

ニシンをたらふく食べたら、夏の終わりには
またたった一人の旅に出るのだ。

「人生80年。いつも一人だけれど、
 さみしいと思ったことはない。
 この前はハワイの沖で兄弟と出会った。
 言葉は交わさなかったけれど、
 お互い元気で何よりだ。
 なんという素敵な自由。
 なんという素敵な孤独。
 誰もが羨む人生を私は送っている。
 見よ、この大ブリーチ。
 海も空も私のものだ」

いいな~、ザトウクジラ。
人間たちの歓声が聞こえているのだろうな。
憧れを一身に受けて、旅に戻ってゆく。

旅の話を聞きたいな。
恋の季節もあるのだろうな。
だって80年の人生を、地球規模のステージで
生きてゆくのだもの。

来年また会えますね、このアラスカの入江で。

今度はあなたの友人たちのためへのジャンプを
見せてください。



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